2018年5月1日火曜日

この世のどんな失敗も、脳の成長のためにある。

【すべての失敗は脳を成長させる】


黒川伊保子氏の心に響く言葉より…


30代までの脳にとって、「失敗」は、脳のメカニズムの一環で、必要不可欠な頻出(ひんしゅつ)イベントである。

若者は、いちいち落ち込んでいたら、脳が疲弊してしまう。

それではまるで、おしっこする度に落ち込んでいるようなもの。

好奇心が萎えてしまい、日々の暮らしの中に埋もれてしまう。


40歳を過ぎると、もの忘れが始まる。

もの忘れは、脳が無駄を知り、本質を極めてきた証拠。

「本質的でない無駄な情報」に電気信号を流さなくなるから起こるのである。

当然、人は失敗しにくくなってくる。


とはいえ、新しい世界に挑戦するときは、やっぱり失敗する。

逆に、失敗しなくなったら、成長していない自分を嘆いたほうがいい。

ときには、失敗を求めて、新しいことに挑戦してみればいい。

失敗したら「しめた」と思おう。

好奇心を失わず、失敗にタフな大人はかっこいい。

若者たちを英雄の道へ導く、いいお手本でもある。


英雄は、誰よりも勘とセンスが働かなくてはならない。

だとしたら、誰よりも、失敗を知らなければならない。


脳は、体験によって進化している。

失敗すれば、失敗に使われた脳の関連回路に電気信号が流れやすくなる。

中でも、さまざまなかたちの成功に使われる本質的な回路は、使われる回数が多いので、特に優先順位が高くなる。

これこそが、物事の本質を見抜く洞察力の回路に他ならない。


超一流のプロたちが持つ力だ。

彼らは、この回路を使って、「勝ち手」を瞬時に見抜く。

この回路は、成功体験を積み重ねることによってつくられる。


しかしながら、成功体験を劇的に増やし、大切な回路に何度も信号を流して「本質の回路」に昇華させるためには、その前に、十分に、無駄な回路を切りすてておく必要がある。

その無駄な回路を捨てる、成功への基本エクササイズこそが「失敗」なのだ。

この世のどんな失敗も、脳の成長のためにある。

失敗の数が多いほど、そして、失敗の「取り返しのつかなさ」が深刻なほど、脳は研ぎ澄まされた直感を手にし、その脳の持ち主は輝かしいプロになり、しなやかな大人になる。

しがたって、「失敗」は、恐れる必要がない」


昔からよく「若いときの苦労は買ってでもしろ」とか「失敗は成功の源」などと言うが、あれは、単なる慰めでも、結果論でもない。

脳科学上、非常に明確な、脳の成長のための真実なのだ。


若くても、勘のいい子はいる。

たしかにそう。

しかし、そんな若者は、子どものうちに、人一倍、試行錯誤を重ねてきた子たちだ。


小さなころから世間をなめて、うまくごまかし、失敗を回避してきた脳こそが深刻。

「逃げがうまい要領がいい若者」は、本当に大成しない。

一流の場所に一人も残らない。


かくも、失敗とは、脳にとって大事なのである。

心を痛めた分だけ、脳はよくなる。

ネガティブだと思っていた現象が、不可欠であること。

脳を研究していると、よく出会う真実である。

脳は一秒たりとも無駄なことはしない。


『英雄の書』ポプラ新書



黒川氏は、失敗のことを「人生をドラマチックにしてくれる、神様の演出」だという。

同じ事象を、「失敗」と呼ぶのと、「やっとドラマが始まった」と思うのとでは、天と地ほども違うからだ。(以上本書より)


テレビのドラマにおいても、物語がいよいよ佳境に入ると、泣きたくなるような失敗や、大きな困難が起こる。

そして、それを乗り越えたとき、そのドラマはハッピーエンドに向かう。

一度の失敗もない、成功しっぱなしのドラマなどはつまらなくて誰も見ない。

人生も同じで、山あり谷ありだからこそ、そこに味があり、深さや厚みが出る。


すべての失敗は脳を成長させる。



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