プロフィール

2017年8月25日金曜日

素読の効能

現在、発行中の『致知』9月号で、
神奈川県の公立小学校教師・山田将由先生が
受け持ちクラスの指導に「速音読」を導入され、
学級づくりに効果を挙げていることを
話されています。

そもそも、速音読とは何なのか?

どんな効果が期待できるのか?

「速音読」考案者の齋藤孝先生と
脳トレの第一人者・川島隆太先生の共著
『素読のすすめ』(弊社刊)から
ご紹介します。

……………………………………

【川島】

僕はこれまで素読が脳の機能を高める
実証データをたくさん取ってきましたが、
そこで分かったことの一つは
できるだけ速く読むトレーニングの効果です。

速く読むことで頭の回転速度が上がります。

例えば、早口言葉のようなものを
毎日やっていると、
脳がつくり替えられるということが
見えてきたんですね。


もう一つ、声に出すことは
記憶のトレーニングにもなります。
僕たちが文章を読む場合、
一文字一文字を目で見て発声するのではなく、
ある程度の量を見ながらそれを記憶に留めて
声に出したり、理解したりしますね。

これをワーキングメモリー(作動記憶)と
読んでいますが、素読によって
この脳のシステムをフルに
活用できることが分かってきました。


【齋藤】

つまり素読を速くやれば、
それだけ効果が高まる。


【川島】

はい。頭の回転速度と記憶の容量は、
二十歳を過ぎると遅くなり、小さくなります。
ですから、素読を速くやることは
脳の機能の低下を食い止めるし、
子供たちの場合は、発達期に
脳の器が大きくなるわけです。

そのことを意識しながら
一日に十分から十五分の素読を行うと、
記憶力がよくなるばかりでなく、
心理学でいう転移、つまり記憶とは
別の力まで伸びるという反応が起きます。

その能力とは、抑制力、創造力、
論理的な思考力といったものですが、
実際にMRIで調べると
脳の前頭前野の両側の体積が
増えていることが証明されているんです。


【齋藤】

脳の体積が増えるのですか。


【川島】

思考や記憶などを司る前頭葉は
十二歳がピークで、その後は
だんだん薄くなるものですが、
大人でも素読を続けることによって
元に戻っていくんですね。

これは脳の可塑性といわれ、
脳の神経細胞のシナプスの量が増えて
ネットワークが通じやすくなるわけです。
それも、MRIで見て分かるくらい
劇的に変化するんです。


【齋藤】

素読のスピードについてお聞きしたいのですが、
私は子供たちを集めて速音読をやっているんです。

これも身体論や呼吸の研究から生まれたもので、
音読もスポーツのようにやれば
有酸素運動のような効果が
得られるのではないかと考えました。

抑揚を意識しながら、
とにかく一息でできるだけ長く、
テンポよく音読をする。

夏目漱石の『坊つちゃん』は
テンポがいいので速音読には
もってこいなのですが、

「お、や、ゆ、ず、り、の、
 む、てっ、ぽ、う、で」

というゆったりした言い方ではなく


「親譲りの無鉄砲で小供の時から
 損ばかりして居る」


という、かなり速いテンポで
一冊読み上げるわけです。

百人以上の小学生と六時間ぶっとおしで
やったのですが、しばらくすると
一種のゾーンに入ってきましてね(笑)。
一冊読み終わったら
なぜだかとても元気になりました。


【川島】

それは僕たちの理論どおりです。
頭の回転速度のトレーニングを
応用されたということなんですね。

このトレーニングをやると実際、
アクティビティ(行動量)が高まり、
記憶力が二割ほど増した状態となります。

タイムを計って計算をさせる
「百ます計算」も同じ理論です。

あれは急がせるところに意味があるんです。
僕たちは脳のトレーニングは速くないと
意味がないという話を常々しています。



致知出版社様メルマガよりシェアさせていただきました。


押忍!

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