プロフィール

2017年6月24日土曜日

内弟子修行=修行道場

「忍を懐いて慈を行じる」とは、
すばらしい言葉であると思う。

しかし、いくら理論の上で
なるほどその通りだと頷けたとしても、
実際には、腹が立ち、
憎しみの感情が湧いてしまうのも、
人の世の常であろう。

修行道場では、常に先輩から厳しい指導を受ける。
叱咤されることは日常である。

私なども、これだけ一所懸命やっているのに、
一体なぜこんなに叱られるのか、
全くわけが分からず、理不尽な仕打ちに、
当時の老師に

「こんなに叱られてばかりでは、
 とてもやっていけません」

と訴えたことがある。

老師は、涼しいお顔で、ただ
「修行というのはそういうものです」
とのみ答えられた。

そして、静かに

「私もね、よく叱られました。
 叱られて、叱られて今があります」

と、まるで何かを懐かしむようにつぶやかれた。

「そうだ、そういえば、修行に出る時に、
 修行とは堪え忍ぶことだと教わったはずだった」

とようやく気がついた。

それがまたしばらく経つと、忘れてしまい、
堪えられない思いに駆られてしまう。

また「堪え忍ぶことこそ修行」と思い起こす。
そんなことを幾度も幾度も繰り返して
今日に到っている。


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著者紹介
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横田南嶺(よこた・なんれい)
昭和39年和歌山県新宮市生まれ。62年筑波大学卒業。
在学中に出家得度し、卒業と同時に京都建仁寺僧堂で修行。
平成3年円覚寺僧堂で修行。11年円覚寺僧堂師家。
22年臨済宗円覚寺派管長に就任。著書に
『名僧に学ぶ生き方の知恵』『人生を照らす禅の言葉』
(ともに致知出版社)などがある。


致知出版社様メルマガよりシェアさせていただきました。


押忍!

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