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2017年1月29日日曜日

逆の美学

【逆には人を惹きつける魅力がある】


哲学者、小川仁志氏の心に響く言葉より…


ある日たまたまテレビを見ていると、狂言師の野村萬斎さんと、フィギアスケーターの羽生結弦さんが対談をされていました。

羽生さんが野村さんの主演した映画『陰陽師(おんみょうじ)』のテーマ曲を使って陰陽師になりきって演技するということで、アドバイスを受けていたのです。


そこで興味深かったのは、狂言では観客の逆を突く動きが大事だと言う話です。

たとえば、手をある方向に向けておいて、実際にはそれと反対の方向に飛ぶというのです。

たしかにそれだと観客にとっては虚(きょ)を衝(つ)かれたような形になります。

そしてそれゆえに美を感じるのです。


ここが不思議なところで、逆向きに動くからこそ心を打たれるわけです。

逆の美とでも称しましょうか。


そのとき私はある種の確信を抱きました。

逆には人を惹(ひ)きつける魅力があると。

それは単に正に対置される対立的な存在ではなく、逆にこそ物事を成り立たしめる真理が宿っているのです。


そうして逆のつく言葉を改めて見直してみると、そこにはこでまで気づかなかった魅力や魔力、そして潜在力が秘められているように思えてきました。

たとえば、逆張り、逆手に取る、逆サイド、逆転、逆上がり、逆回転、逆指名、逆境、逆切れ…といった感じで。

いずれも正攻法ではないやり方を意味する言葉ですが、それゆえに先ほどの美だけでなく、大きな効果を生み出すこともあり得ます。


逆張りは投資の手法ですが、あえて相場のトレンドと反対の売買行動をとることで、大儲けできる可能性があるわけです。

逆サイドとはサッカーの用語ですが、ボールを追っている集団と逆の側にポンとボールが行くと、得点の可能性が高まります。

怒られたほうが起こり返すという逆ギレでさえ、攻撃は最大の防御なりといわんばかりの勢いを感じる言葉です。


このように逆という言葉は、正攻法とは異なるだけに、意外性を生み出すのです。

そしてその意外性がまさに以外な力を生み出すわけです。

人間にとって意外性とは心を動かされる大きなインパクトを持つものになります。

なぜなら、心がそれに対して無防備な状態にあるからです。


意外とはそういうことです。

心が無防備だと、それだけ揺れ動く度合いも大きくなる。

初めて見た芸術や大自然に心が動かされ、思わず感動してしまうのはそうした理由からです。

これが逆の美の本質です。


『成功する人はみんな《逆》に考える』ぱる出版





小川氏は、同書の中でこう語る。

「なぜ人と同じことをするのが嫌いなのかというと、それをかっこ悪いことだと思っているからです」


日本では、群れるのが好きな人、集団で行動するのが好きな人が多いと言われる。

子どもの頃から、トイレに行くのも、お弁当食べるのも、勉強するのもみんなと一緒、というような行動だ。

仲間はずれを怖れ、みんなと同じなら叩かれない、批判されないという心理による。


集団行動やみんなと合わせることが必要な時もあるが、すべてがみんなと一緒なら、何の創造性も、個性も、独創性もなくなってしまう。

「人と同じことをするのはかっこ悪い」、という群れない人は自律した人。


「逆には人を惹(ひ)きつける魅力がある」

逆に考え行動することを恐れない人でありたい。






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